不動産と税金は切っても切れない関係があります。
所得税や消費税などの身近な税金もありますが、固定資産税や登録免許税など、普段の生活では聞きなれないものもたくさんあります。
各税金の細かな説明は別のサイトにお任せして、ここでは「ざっくりと骨組みだけ」の説明をしたいと思います。
不動産の税金一覧
不動産を取得したいとき
・印紙税
・登録免許税
・不動産所得税
・消費税
・相続税、贈与税
不動産を所有しているとき
・固定資産税、都市計画税
不動産を賃貸しているとき
・事業税
・所得税
・住民税
・消費税
不動産を売却したとき
・譲渡所得税
・住民税
・消費税
・印紙税
不動産を所得したときの税金
不動産を所得する、つまり、マイホームを購入した際や投資物件を購入した際に係る税金です。
また相続で不動産を所得することや贈与で所得するケースもありますね。
今回は数ある不動産の税金のうち、「印紙税」について、ざっくり骨組みだけ説明していきます。
【印紙税】
印紙税は日常生活ではあまり聞きなれない税金かと思われます。
筆者としては、若い頃に大人数で飲食店を利用した際、もらった領収書に切手のようなものが貼られていたことありました。それが印紙との初めての出会いだったかと記憶しています。
また、印紙税と言われると、高校生の時に世界史で習った「印紙法」を思い出しますね。
印紙法(Stamp Act)は、1765年3月にイギリスがアメリカ植民地に対して課した印紙税を定めた法である。これは新聞・パンフレットなどの出版物、法律上有効なあらゆる証書、許可証、トランプのカードなどに印紙を貼ることを義務付けるものであった。七年戦争などを経て財政難に陥っていたイギリスは、植民地への課税によってこれを乗り切ろうとした。これが植民地人の反発を招き、アメリカ独立戦争への端緒となった。
ちなみに、印紙税の誕生は、1624年オランダがスペインとの独立戦争(八十年戦争)で財政が窮乏し、新たな税収確保の手段として、税務職員であるヨハネス・ファン・デン・ブルックが印紙税を発明しました。印紙税は、他の税金と比べると、国民に重税感を与えにくいという特徴があり、各国に普及しました。
植民地政策のひとつであった印紙法。新聞やパンフレットにも印紙を買って貼りなさい、という結構ひどい税金ですね。(印紙とは切手のようなものをイメージしてもらうと分かりやすいです)
印紙を買うお金がそのまま国の税収となります。世界史で習った中では印象に残っている悪名高い税金ですね。
ひどい増税に爆発したことがきっかけで、アメリカは独立の道へ進みます。
ターニングポイントとなる税金だったようですね、
そして、21世紀の現代日本にも印紙税は存在します。
日本では1873年(明治6年)に、地租改正という土地制度改革があり、農業と商業から安定的な税収確保が得られるため印紙税が採用されました。
まさか現代の日本にも植民地時代と同じような税金があるのか、、よく民衆の反乱が起きていないな、、と思った記憶があります。
もちろん植民地時代のアメリカとは違い、印紙を貼らなければならない対象は小さく限定されています。
ですが、「定められた印紙税の対象となる文書(契約書や領収書など)を作成・交付した場合には、印紙という切手みたいなものを買ってきて貼らないとダメ」なんですね。
印紙税がかかる文書(課税文書)とは、
・不動産売買契約書
・新築やリフォームの工事請負契約書
・住宅ローンの金銭消費貸借契約書
・5万円以上の領収書
・その他、手形や株券の全20種類
あります。
イメージとしては、「金額の高い取引の際には印紙を貼らないとダメ」という認識で大丈夫かと思います。
なので、日常生活ではあまり印紙が登場しないのです。
新聞などの日常生活のモノにまで印紙を貼れとなると、さすがに民衆が立ち上がりそうですが、高額の取引の際にだけかかる税金なので、仕方なしとなっているのでしょう。
ちなみに、どれぐらいの金額の印紙を貼らないとダメかと言うと、
5万円の領収書なら200円
2000万円の新築工事の請負契約書なら10,000円
2000万円のローンの金銭貸借契約書なら20,000円
となります。
お店で5万円以上の使った際の領収書は200円と金額はそこまで高くはありません。ですが、不動産という高額なものを購入する際には、契約書を取り交わすだけで数万円の印紙税がかかります。
あまり日常生活で出てこない印紙税ですが、この印紙税の税収は「約1兆円」で、これは酒税やタバコ税に匹敵する国の大事な財源になっているようです。
・酒やたばこという娯楽に興じられる余裕のある人からは税金を取りましょう。
・高額の取引ができる余裕のある人からは税金を取りましょう。
税金の設計はこんな風な考え方なんでしょうかね、、。
タバコはどんどん増税されて値上げされていますが、印紙税は「領収書3万円は非課税」だったのが、「5万円まで非課税」に緩まりました。
今回は不動産の税金のひとつ、「印紙法」について「ざっくりと」でした。
次回は別の税金を「ざっくり」いきます。